発表を受けて,答え合わせをしたものを別の記事で上げました.
この記事はiPad Pro発売前の自分の予想を残しておくために,削除はしません.
あまり見る意味は無いので,基本的に上記のページを見てください.
10月25日現在では当然なんの情報も出てこないので,全て予測です.
Appleが2012年よりiOSデバイスを中心に採用し続けたLightning端子をついに捨てるようです.
そして,その後継がUSB-C.
なお,正式名称は「USB Type-C」で,USB-CはApple流の書き方になります.
はたしてUSB-Cとは何者なのか?
Apple と USB-C
Apple関連でUSB-Cといえば,2015年以降のMacBook,2016年以降のMacBook Pro,2017年以降のiMacに採用されており,Macにおいて既に馴染みのあるものとなっています.
このUSB-Cですが,機種によってその性能に差がある,という特徴があります.
その一覧を以下に示します.
対応する機能 | MacBook | MacBook Pro | iMac (Pro) |
---|---|---|---|
Macへの給電 | 対応(29W) | 対応(60W/86W) | - |
外部への給電 | 対応(15W) | 対応(15W) | 対応(15W) |
USB通信 | 3.1 Gen1(5GHz) | 3.1 Gen2(10GHz) | 3.1 Gen2(10GHz) |
Thunderbolt 3 | - | 40Gbps | 40Gbps |
外部ディスプレイ | 4K1台 | 4K2台 | 4K2台 |
MacBookは世界で初めてUSB-Cを搭載したパソコンとして発表されましたが,その時は「充電も通信も映像も1本で」行えるということが盛んに宣伝されました.
ところが,iMacに備わっているUSB-CではMacへ給電を行うことはできません.
また,MacBookではThunderbolt 3 の高速通信に対応していないばかりか,USBの速度すら違います.
USB-Cは非常に柔軟な規格であり,「USB-Cだから○○ができる」とは言い切れないのです.
USB-Cとは何者か
では,USB-Cでは最低限どんなことができ,どんなことに使えるのか?
図にまとめてみました.
なんだか見るだけで気分が悪くなる図が出てきました.これでも頑張って整理したんですが...
端末メーカーが「USB-C搭載!」と宣った場合,中央の黄色で囲った部分にしか対応しない可能性があります.
つまり,通信に一切対応しない可能性があるわけです.
現実にはスマートフォン等の場合そういったものはありません.しかしながらUSB 2.0の比較的低速な通信しかサポートしないケースが多々あります.
現行製品からiPadのUSB-Cの性能を考える
新しいiPad ProのUSB-C端子に関して,リーク情報は充電電力に関するものくらいしか出ていません.
そこで,既存の製品から,どのような機能を持つかを予想してみました.
オレンジで括った部分がiPad Proが対応すると思われる機能です.また,オレンジの点線で括った部分は対応する可能性が(小さいながらも)あると思っているものです(根拠はあまりありません).
私は,新しいiPad Proと現行のMacBookのUSB-Cが同じ能力を持つと予想しています.
これは,既存のLightningコネクタと同等の性能を持たせると,ほぼ必然的にそうなるからです.
以下に詳しく見ていきましょう.
通信
唐突ですが,現行のiPad Proに搭載されているLightning端子は,iPhoneや普通のiPadに搭載されているものと違うということをご存知でしょうか?
iPhone/iPadがLightningコネクタ内に8ピンを備えているのに対して,iPad Proは倍の16ピンを備えています.
その余分な端子を使うことで,iPad ProはiPhone/iPadに比べて10倍の転送速度を実現しています.
その背景となっている技術がUSBです.
Lightning端子は形こそUSBと全く異なりますが,その中身の通信はUSB2.0やUSB3.0がそのまま使われています.
iPhone/iPadは最大480MbpsのUSB2.0が,iPad Proは最大5GbpsのUSB3.0が用いられています.
2018年のiPad ProもUSB 3.0(5Gbps)がそのまま搭載される可能性が非常に高いといえます.
※ここでは3.0と言いましたが,今なら3.2 Gen 1とかの方がより正しい言い方なのでしょうか.いまだにこの辺がよく分かっていません.転送速度は5Gbpsで同じです.
ディスプレイ
Lightningは専用のアダプタなどを用いることで,端末のディスプレイをミラーリングして出力できます.この機能に引き続き対応すると思われます.
LIghtningでは端末とUSBで通信し,アダプタ内でUSBから各ディスプレイ規格(HDMI等)に変換を行っていたようです.
Panic Blog » The Lightning Digital AV Adapter Surprise
2018年のiPadでは端末本体から直接ディスプレイの規格で通信できる「USB Alternate Mode」に対応することが望まれます(予想).
Alternate Modeの詳細は以下をご覧いただくとして,
対応した場合は高価すぎるアダプタの中身が簡素化され,値下げされることが期待されます(願望込みの予想).
また,USB Type-Cの標準規格によるもののため,数多く出回っているサードパーティのアダプタが利用できるものと思われます.
1点注意点として,HDMIへの対応方法があります.MacのUSB Type-CはHDMIの出力に対応していません.例えば,
Anker USB-C & HDMI 変換アダプター 【4K/60Hz対応 / 新しいMacbook、iPad Pro 2018、Chromebook Pixel 他対応】
- 出版社/メーカー: Anker
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログ (1件) を見る
このような製品は,MacからDisplayPortの通信で出力し,アダプタ内でHDMIに変換して対応しています.
iPadでもこれが踏襲される場合,端末から直接HDMIの信号でやり取りするタイプのアダプタは使用できません.
2018年現在そういったアダプタはほとんど無いですが,他社の端末の対応次第で増える可能性がありますので,HDMIアダプタは「MacBook/iPad Pro対応」などの表記を確認した方がいいでしょう.
肝心の解像度などの性能ですが,端子の性能としてはMacで実績のある通り,4Kまでは問題なく利用できます.
ですが,12.9インチのiPadで,2,732 x 2,048の解像度であるため,おそらくは,等倍の解像度として出力されるのではないでしょうか?
なお,現在のアダプタは,おそらくiPhone/iPadのLightningの性能に合わせた結果かと思いますが,圧縮を挟んだFull HD解像度となっていますので,大幅な画質向上が見込まれます(予想).
音声
Lightningでは,その前に使用されていたDockコネクタと異なり,アナログ音声の出力ができなくなりました.iPhone 7,8,Xに同梱されたLightning-イヤホンジャックアダプタは,iPhoneからアダプタまでデジタルで通信し,アダプタ内でアナログ音声に変換しています(そのため,以前のiPhoneに比べ音質が変化したと聞きます).
対してUSB-Cは,規格上,アナログ音声の出力に対応しており,iPhone本体から直接アナログで出力される可能性も十分あり得ます.
しかし,必ずそうなるとは一概にはいえません.理由は
- 端末内で対応する場合と,アダプタ内で対応する場合とで,それほど性能が変わらない
- Android陣営で対応が分かれている
です.既にAndroidではイヤホンジャックを搭載せず,USB-C経由で音声出力を行うものが増えていますが,メーカーにより
- 端末からのアナログ音声出力対応
- アダプタ内でのアナログ音声への変換に対応
の2種類の派閥があります.両方対応する可能性もあれば,どちらかにしか対応しない可能性もあります.
以下の2つのアダプタを見てみましょう.
- 出版社/メーカー: Ikheriy
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
数量の差はあれど,見た目はそっくりです.なのに対応機種が異なりますね.
iPhoneが果たしてどちらにつくかは分かりませんが,せっかくなので,どちらの規格でも対応できるよう,アナログ音声出力に対応してほしいものです.
Thunderbolt
USB Type-Cオタク,Appleオタクとしては,Thunderboltに対応してもらえたら,とっても嬉しいです.
そんな僕ですら使い道が思いつかないので,まず対応することはないでしょう.
もし対応したら,iPad Pro + 外付けグラボで,超ヘビーなゲームとかできるんでしょうかね?
充電
USB-Cに変わることで,もっとも多くの人が受ける恩恵が充電です.
MacBook Proの充電をUSB-Cで行っているように,USB-Cはこれまでにない高速大電力の給電に対応する端子です.
標準の付属充電器が今までの12WからUSB PD規格に対応した18Wになるという噂も出ており,充電環境が良くなるのは間違い無いでしょう.
実は今のiPad ProでもUSB-C充電器とApple純正のUSB-C-Lightningケーブルを用いることで,最大30Wの給電が可能です.
iPad Pro 2018でもこの性能を踏襲する可能性が大いにあります.
今まではApple 純正の高価なケーブルを別売で買う必要がありましたが,今度は標準のケーブルで対応できそうです.
対応する周辺機器(予想)
では肝心の対応する周辺機器ですが,汎用規格であるUSB-Cを採用することで多くの既存のアダプタなどを利用可能になることが見込まれます.
USB-Cドック
個人的な推しがUSB-Cドックです.既にMacで愛用していますが,「充電・USB・映像・音声」を1本のケーブルで同時に接続できるようにするものです.
USB-Cならではといってもいいでしょう.
iPad Proを充電するときと同じようにケーブル1本をつなぐだけで,大画面ディスプレイ,外付けスピーカー,USB外部機器などにアクセスできるようになるかもしれません.
ぜひ買って体感してみたいですね.
iOSがドックに対応するかという懸念はありますが,ドックは所詮アダプタの集合体ですので,全機能が使えなくとも多くの機能は使えるかと思います.
多機能アダプタ(SDカード等)
SDカードリーダーやUSBハブを複合した多機能なアダプタが多数販売されています.
Lightningの対応機器を考えますと,対応する可能性は十分あります.
おすすめの品を1つあげます.MacBook Pro用に持っていますが,質感が良くおすすめです.
USB-Aの他にSD,microSD,HDMIを利用できます.
- 出版社/メーカー: NOVOO
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
ただしiPad の場合充電と同時に利用できないという問題があるため,下記の充電用USB-Cを備えた製品の方が良いでしょう.
HDMI変換アダプタ
これは,おそらくMac用と同じものが使えると思われます.ですが,先に書いた通り,2通りのHDMIアダプタが可能であることに注意が必要です.
とりあえず,現行製品ならば,ほぼ全てがMacに対応するもののため,iPad Proにも対応することになるでしょう.
Apple 純正 www.apple.com
Amazon
Amazonベーシック USB 3.1タイプC - HDMIアダプター ブラック
- 出版社/メーカー: AmazonBasics
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
Display Port 変換アダプタ
- Amazon
Amazonベーシック USB 3.1 Type C to Displayport ケーブル ブラック
- 出版社/メーカー: AmazonBasics
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
VGA(D-Sub)変換アダプタ
- Apple 純正
- Amazon
以下をMacBook Pro用に購入して使っています.
Amazonベーシック USB3.1タイプC - VGAアダプター ブラック
- 出版社/メーカー: AmazonBasics
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
USB-A (旧来のUSB)変換アダプタ
これはまず間違いなく対応するでしょう.ただしiOSの都合で,対応するデバイスは限られると思います.
Apple www.apple.com
Amazon
Amazonベーシック USB Type C to USB 3.1 Gen1アダプター(メス) 0.14m ブラック
- 出版社/メーカー: AmazonBasics
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログを見る
Ethernet(有線LAN)変換アダプタ
今回の記事を書くために調べて,初めて知りましたが,iOSデバイスは有線LANに対応しています.
Lightningであれば2つのアダプタを連結する必要がありますが,USB-Cとなれば1本でいけるでしょうね.
Apple純正品は今の所出ていません.
- Amazon
以下をMacBook Pro用に購入して使っています.
Amazonベーシック USB3.1タイプC - イーサネットアダプター Mac/PC両対応 ブラック
- 出版社/メーカー: AmazonBasics
- メディア: Personal Computers
- この商品を含むブログ (1件) を見る
充電器(ACアダプタ)
付属(すると予想される)18W充電器以外にも,より高速な充電ができる充電器が登場するでしょう.
現行品と同じく最大30Wの場合は以下の製品などがいいと思います.
Ankerをおすすめしている理由は,はんぺん氏の記事を見ていただければ分かるかと.
基本的にはUSB PD対応であればどんなACアダプタでも使えるはずです.しかし,USB-Cの規格に一部適合しないアダプタ(Nintendo Switch用USB-C電源アダプタ等),ワット数が小さすぎるアダプタは使用できない可能性もありますので,レビューなどを良く見るべきです.
充電ケーブル
標準で添付されるであろう,「USB-C充電ケーブル」でいいでしょう.
他にAndroidデバイス向けのケーブルが多く売られています.
Anker PowerLine+ USB-C & USB-C 2.0 ケーブル (0.9m レッド) PD対応 Galaxy S8 / S8+、MacBook、MateBook対応
- 出版社/メーカー: Anker
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
なんと100均にもあります.
同期(通信)ケーブル
基本的に全てのUSB-CケーブルはUSB 2.0(480Mbps)での低速な通信ができます.おそらく同梱の「USB-C充電ケーブル」も低速な通信は可能なはずです.
高速な通信が可能なものは,別途購入する必要があります.
用途はあまりありませんので,購入する人は少ないと思います(PCとの同期のスピードが上がるかはiTunesとiOSの対応次第です).
私が使っていておすすめなものはこちらのケーブル
- 出版社/メーカー: Cable Matters
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
です.長さ2mまであり,Thunderbolt 3にも一部分対応するなど,非常に高機能です.
もう少し安価なケーブルもあるかと思われますが,性能を偽った怪しいケーブルも多数あるため,少し高めなケーブルを買うべきです.
かといって高すぎるケーブルも考えものです.
高価な代わりに高速通信に特化した「Active」なケーブルは,iPadで使用できない可能性が高いです.
以下のケーブルは使用できないと思われます.
- 出版社/メーカー: Cable Matters
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
「Active」なケーブルの詳細については以下の記事に書きました.
また,USB-Cの高速なケーブル全般に言えることですが,内蔵する電線が細いため,一般的な充電ケーブルよりも扱いに注意が必要です.ロープのように束ねるのではなく,ループさせるようにして収納するなど,丁寧に扱いましょう.