私は金沢の近くにある某工業系大学に在籍していたことがあり,そのときMacを所持していました.
最近,周囲で「入学前にMac欲しかったけど買わなかった」的なお話をいくつか聞いたので,入学前の方を対象に大学でのパソコン事情,おすすめのパソコン情報を少し書いておこうと思います.
それから記事後半に大学で役に立つであろう設定知識をまとめていますので,いざMacを買って入学した際には参考にしてください.
Macのプロキシ設定などを知りたい方は最後の方まで飛ばしてください。
総論:Macを買ってもいいのか??
結論はOKです.ただし,
- 一歩秀でたITリテラシー
すでにMacにBootcampでWindowsを入れたことがあり,使うことができる
または,ネットワーク系の知識,長期のWindows使用経験などのスキルがあり,パソコン操作に自信がある
「WindowsのイメージをUSBに焼いて新しいパーティションに入れてデュアルブート」の意味がわかる
- 周りから浮く勇気
7割が学校推奨のPCを買ってくる中で,人と変わったパソコンを使うことに抵抗が無い
- 問題を自分で解決する粘り強さ
サポートなどがなくても,問題を自分で調べ,解決しよう行動できる
などが前提です.大学デビューでちょっとオシャレなパソコン買ってみよっかな♪とかはやめたほうがいいです.
それから,授業で使用するソフトウェアがWindows用である以上,Windowsの使用時間が増えますので,Macを買うメリットより,デメリットが目立ちます.
私は熱心なApple信者ですから,当然Macを買っているのですが,はっきり言って,強くおすすめはできません.
Macの置かれている環境
大学でのMac受け入れ状態
現在大学ではmacOSおよび仮想環境のWindowsを公式にサポートしていません.大学推奨のT社,N社,F社,P社(数年ごとに入れ替わる)のパソコンである必要はありませんが,フル機能のWindows10 PCを学生全員が持っている前提でカリキュラムが組まれています.
一方でMac版ソフトウェアのライセンスを配布していたり,教職員を中心にMacを使用できる環境が一部整備されています.
大学でのMac普及率
学科によって大きく異なりますが,情報系の学科を中心にMacを所持している学生がちらほらいます.とはいえ,多い学科で10%,少ない学科だと1%未満です.
教職員も同様に少なく,1割程度でしょうか.
大学でのMac利用の弊害
いくつか回避困難な問題があります.
- 授業で使用するソフトウェア
授業で使用するソフトウェアは情報系の開発環境,機械建築系のCADソフトなどを中心にWindowsでしか利用できないものが多いです.故に「重いWindowsソフトウェア」が動くパソコンである必要があります.
逆に言えば,「重いWindowsソフトウェア」が動けば,この点は支障ありません.
- プリンタ
大学内には学生が無料で使用できるプリンタが配備されており,課題の作成などで頻繁に使用します.このプリンタはWindowsからしか使用できないようです(私が方法を知らないだけかも).
- プロキシなど特殊な設定
学校のネットワークは外部から半ば隔離されているため,いくつか特殊な設定をしなければ,外部のインターネットに接続できません.Windowsの設定手順は公開されていますが,Macでは自力でやる必要があります.
準備すべきこと
事前に準備しておくべき項目
- Windows 10 on Bootcamp
Apple公式のWindowsインストールツール「Bootcamp」を使ってWindows 10を入れましょう.Bootcamp自体は無料でmacOSに同梱されていますが,Windows10のライセンス(10,000〜20,000円)が必要です.
Microsoft Windows 10 Home Fall Creators Update適用 32bit/64bit 日本語版 (最新) |パッケージ版
なぜBootcampか
Bootcampでなければならない理由は「重いソフトウェア」を動かすためです.
Bootcamp以外にWindowsをインストールする方法として,ParallelsやVMwareなどの仮想化ソフトウェアを使用する方法があります.
情報系や機械系で使用するソフトウェアはノートパソコンにとっては非常に負荷の高いものばかりです.MacBook Pro 13インチなどで使用する場合,仮想環境のWindowsでは負荷が大きすぎ,正常に動かない可能性が考えられます.
建築系CADにいたってはまともに使おうとすると,推奨されているパソコンの性能ではとても足りませんので,よりハイスペックなパソコンが必要です.
Windows10のインストールは入学前に済ましておくのが望ましいです.
大学入学後1ヶ月以内にWindows10のライセンス1回分を含むMicrosoftの包括ライセンス契約のアカウント使用権を付与されますが,パソコンは入学式の次の日から必要なので,その間のつなぎが必要になります.
Parallels(有料)を利用すると,BootcampのWindowsをMacからも起動できるようになるのですが,その際,もうひとつWindowsのライセンスが必要な場合があります.新たにもらえるライセンスはこちらの用途に使えば良いのではないでしょうか.
- 各種アダプタ
有線LANを使用できないと,無線LANのセットアップすらできません.またVGAの古いプロジェクタも現役です.学校推奨のパソコンについてる各種コネクタに対応できる準備をしておきましょう.DVDドライブも必要な局面が出るかもしれません.
2016年以降製造のMacBook Pro用:
こういうまとまったやつ(VGAは無いことが多いので注意)を買ってもいいですし,
個々でアダプタを買ってもいいでしょう(割高ですが,アダプタが壊れたときにリスクを分散できる).
USB-A:
Rankie USB C 変換アダプター 高速転送 Type-C機器対応 2個セット シルバー
HDMI:
Amazonベーシック USB 3.1 Type C to HDMIアダプター ホワイト
VGA:
Amazonベーシック USB3.1タイプC - VGAアダプター ブラック
有線LAN:
Amazonベーシック USB3.1タイプC - イーサネットアダプター Mac/PC両対応 ブラック
DVDドライブ:
I-O DATA DVDドライブ mac 外付け ポータブル USB3.1 Gen1/Type-C/バスパワー対応 パールホワイト DVRP-UT8CW/E
2013年〜2015年に製造のMacBook Pro用:
本体にUSB-AやHDMIポートが搭載されているためそれらのアダプタは不要です.
1点気をつけておきたいのは,Thunderbolt2通信を利用するアダプタはBootcamp環境での使用に一部不具合があります.同じThunderbolt2ポートを使うものでもMini Display通信を利用するアダプタは正常に使用できます.簡単に言うと,Thunderbolt2ポートに繋ぐディスプレイ以外のものはうまく動かない場合があるということです.例えばThunderbolt Ethernet(有線LAN)アダプタはBootcamp環境での利用に制限があります.代わりにUSB-LANアダプタの利用をお勧めします.
VGA:
Apple Mini DisplayPort - VGAアダプタ MB572Z/B
有線LAN:
Cable Matters USB LAN 変換アダプタ(ブラック)
DVDドライブ:
I-O DATA DVDドライブ mac 外付け ポータブル USB3.1 Gen1/Type-C/バスパワー対応 パールホワイト DVRP-UT8CW/E
逆に必要の無い準備
- Office
大学ではMicrosoft Officeソフトウェアを無償で使用できます.入学後にWindows版Officeをインストールする機会がありますのでWindows上にいれましょう.また学校の情報処理サービス部署に頼めばOffice for Macも手に入ります.ただし規定でWindows版との排他利用となっているので,受付で「以前使っていたWindowsパソコンが壊れてMacに買い換えた」などと,必要になった状況を説明して借りてくる必要があります.
- その他,学校推奨パソコンに付いてくるソフトウェア
ソフトウェア類はまっさらな状態で何の問題もありません.
どんなMac(or PC)を買うべきか
Macのメリットは
それはMac自身の魅力です.きれいなディスプレイや高次元にまとめられた使いやすさは,Windows PCでは到底手に入れられません.iPhoneやiPadとの連携も魅力的でしょう.
Macを大学で使うのは大変ですが,それでも有り余る素晴らしさです.
Macを買おうかなぁ,推奨のパソコンを買おうかなぁ
血迷ってはいけません.推奨のパソコンは非常に割高で,「みんな使ってる」というメリットしかありません.その2択ならMacです.
低速なハードディスクやCPU,品質の悪いディスプレイ,ガタガタのキーボードや機構部品,反応の悪いタッチパッド...推奨のパソコンを買うくらいならDellとかの同等スペックを買ったほうがお金を節約できます.
なお,入学時は非常に高いシェアを誇る学校推奨パソコンですが,卒業時には大幅に減っています.安心の長期サポートはどこにいったのでしょう.
Macにこだわりは無いけど「良いパソコン」が欲しい
という,非アップル信者の方はMacを購入するべきではありません.
Macは良いパソコンですが,「良いWindowsパソコン」ではありません.Bootcamp環境でのWindows操作は,精細すぎる画面や広いトラックパッドが裏目にでる場面が多いです.
今PCを持ってるなら入学後に買うのもアリ
今Windows10対応のPCを持っているのなら,入学時を中心に行われるセットアップ類を,新しいパソコンで再度自力で再度行える前提ですが,入学後に買うのもアリです.学校推奨のパソコンは頻繁に壊れるので,有料ソフトウェアのライセンスの再発行をはじめ,セットアップの補助体制は非常にスムーズです.
どのMacを買うべき??(2018時点)
基準は独断ですが
★:使用できる
★★:おおむねストレスなく使用できる
★★★:どんなアプリケーションもストレスなく使用できる
★★★★:重いアプリケーションもサクサク使える
★★★★★:趣味
としています. ★1つ=悪いという意味ではありません.
あくまでWindowsをBootcampでインストールして使用する前提ですが,
★★★★★:モンスター
MacBook Pro 15インチ Core i9, 32GBメモリ, Radeon搭載 SSD512GB以上(40万〜)
★★★★:建築学科で活躍したい人,他学科含め仮想Windowsで重い処理をしたい人,パソコンの性能をできないことの言い訳にしたく無い人向け.
MacBook Pro 15インチ Radeon搭載 SSD512GB以上(30万〜)
(最強です.15インチになってしまうので,持ち運ぶカバンの種類が限られます.)
★★★:バランス良く使えるMacが欲しい
MacBook Pro 13インチ Core i5 3GHz以上(Touchbar付き) SSD512GB以上(20万〜)
(グラフィックス性能が良くありませんが,使っている人も多いです.)
★★
MacBook Pro 13インチ(Touchbar無し) SSD256GB以上(15万〜),MacBook Air SSD256GB以上(15万〜)
★:とにかくMacならなんでも
MacBook Pro 13インチ SSD256GB以上(15万〜)もしくは2014年以降の中古MBP(ヤフオクで10万から,SSD容量などに注意)など
(CPU・グラフィックス性能に難があります.)
買うべきで無い:
MacBook(無印)
割高な割にスペックが悪いです.日常用途には十分ですが,大学で使用するソフトウェアを動かすには非力です.
SSD128GBのMac
macOSとWindowsの2つのパーティションに区切る必要がありますので,実質64GB相当となります.これでは何もできません.
です.
Mac/PCを買うときの諸注意
MacBook Pro 13インチはTouchbarの好き嫌いで選びがちですが,CPUのクラスそのものが異なる(TDPも違う)ので,CPUで選びましょう.特に2018年現在はTouchbar無しと有りでCPUの世代まで違います.性能差は倍以上とも言われます.
SSD容量は少なくとも256GB以上にしましょう.macOSとWindowsの2つのOSで100GB食うものと考えてください.残った容量もCADや開発環境ソフトは1個10〜20GBとか食うので,単純に「使えるソフトウェアの数」が変わります.それらを全て合わせても,256GBあればギリ足りますが写真や音楽を入れるスペースはあまり残りません.512GB以上をお勧めしています.
常にノートPCを持ち歩く関係で,サイズ的には13インチがお勧めです.15インチを買うなら2016年以降の軽いやつのほうが良いでしょう.
また,Windowsパソコンを購入する場合も,同等の性能を持っていることが望ましいです.
HDDはOSや重いソフトの起動に数分単位で時間がかかり,おすすめできません.
どこでMacを買うべき??
大学に合格した学生はApple公式ストアで学割購入できます.また,毎年春先に,無償でBeatsヘッドホンを付けるキャンペーンなどもしています.
ただし,より安価に手に入れたいのであれば,整備済製品や,サードパーティのネットショップで買うのもアリです.
【価格.com】Mac ノート | 通販・価格比較・製品情報
Apple Care +
iPhoneなどで馴染みのある人には分かるかと思いますが,Apple製品は基本1年保証で,有料のApple Care +保証を加えることで保証期間を延長できます.保証期間中の修理がある程度減額されるものの,2〜3.5万円と高いので,悩みどころです.
Apple製品の修理代は(場合により異なるものの)修理が必要な一番高い部品代で決まるので,それほど減額効果は大きくありません.3年間の修理回数が少なければ元は取りにくいです.
番外:Mac以外なら何を買うべき?
ここまで読んでMac以外を買うべきだなと考えた方,それも一つの賢明な選択肢です.
まず,学校推奨のパソコンは様々な理由でお勧めできません(主に価格).
間違って大学推奨のパソコンを買ってしまった人たちは,3年生くらいになると,耐えきれずに他の機種に変えていきます.
このとき,一番人気なのはThinkpadです.
Thinkpadは量販店での取り扱い量は少ないですが,業務用のパソコンとしては世界的に非常に有名です.丈夫で質実剛健な作りと豊富なカスタマイズ性が人気なようです.
他にはゲーミングPCの類も安くて人気です.
ただし,持ち歩きに難がある重さや壊れやすさを考えると,Macに比べてそれほど良い選択肢とは思えません.
必要なスペックですが,
★★★★★:モンスターPC
Core i7 6コア〜,メモリ32GB〜,SSD512GB〜,グラフィックス専用チップ搭載
★★★★:超高性能ノートPC
Core i7 4コア〜,メモリ16GB〜,SSD512GB〜又はSSD256GB〜+HDD, グラフィックス専用チップ搭載
★★★:高性能ノートPC
Core i5 4コア〜,メモリ16GB〜,SSD256GB〜又はSSD128GB〜+HDD,グラフィックス専用チップ搭載
★★:普通
Core i5 2コア〜,メモリ8GB〜,SSD256GB〜又はSSD128GB〜+HDD
★:やや安価
Core i5〜旧世代,メモリ8GB〜,SSD256GB〜又は小容量SSD+HDD
買うべきで無い
Core i3旧世代およびファンレスCPU,〜メモリ4GB,HDDのみ.
としておきます.学ぶ領域などによっても要求される要素は大きく異なりますので,★1つだからダメなPCということはありません.★1つでも良いケースはたくさんあります.
その点では大学が推奨するPCの性能を一つの目安にすると良いでしょう.
Macで必要な設定
プロキシ
基本的にはこれができればOKです.
学校内での使用は有線無線問わずプロキシ設定が必須です.一方で,プロキシ設定を有効にしているときは学校外で使用できません.この設定をすぐにオンオフできるようにネットワーク設定を施しましょう.
この設定に必要な情報は「pacファイルのURL」または「プロキシサーバの情報」です.pacファイルのパスは学校内からしかアクセスできない,学生向けのページに書かれています.http://からはじまり,.pacで終了します.
proxyサーバ名,ポート番号は学生向けページに書かれています.
以下で設定方法を説明しています.
有線LAN設定
これは,大学のネットワークの設定というより,LANアダプタ用の設定です.有線LANポートを搭載したMacBookは長らく発売されておらず,普通はUSB-LANアダプタなどを使用することになります.
このとき,アダプタを挿してすぐ使える場合もあるのですが,ちょっとした設定をしないと認識されない場合もあるため,設定を確認してください.
Wi-Fi設定
プロキシ設定が正常にできていれば,申請した上でWi-Fiを使用することができます.
申請は機器ごとに行う必要があります.
この設定に必要な情報は「Wi-Fi用のMACアドレス」です.以下でその確認方法を説明しています.
アドレスがわかったら
1.学生用のポータルサイトから
2.情報処理サービスに関連するページに進み,
3.無線LANアクセスに関するページに進み,
4.利用申請をします.
なお,画面遷移の途中でパスワードのようなものを入力させられますが,学籍番号と「いつもの」パスワードで大丈夫です.
Wi-Fi接続用のパスワードを設定した上で,アドレス12桁を登録したら,翌日以降からWi-Fi接続ができるようになります.
Wi-Fiに接続するときにはWi-FiのリストからそれらしいWi-Fi名を選び
・ユーザ名(学生用サイトを見ればわかります)
・パスワード(自分が設定したWi-Fi用のもの)
を入力することで接続できます.
この際,ネットワーク環境が,プロキシが有効なものに設定されていることを確認してください.