構成要素
オーディオミキサーについて
今回作成するオーディオミキサは3入力1出力のものです.オーディオミキサの作り方ですが,単純に3つつなぐだけでも動く場合もあるようです.ただ,後段のアンプ・スピーカーの構成によるため,きちんと加算回路を組むことにしました.
この加算回路ですが,オペアンプの反転増幅回路の入力を増やしたものです.
しかしながら,このままだと出力が反転してしまうため,非反転増幅回路にしたくなりますが,どうやら良くないようです.
反転入力ならば,非反転入力が設置されていることで,仮装接地により反転入力が∞インピーダンスの0[V]電位となります.これがシンプルな回路で加算できる,重要な条件のようですね.
この反転加算回路により得られた出力をそのままスピーカーに流してもいいのですが,元と反転してしまうのが少し気になります.今回は念の為,後段に反転増幅回路を取り付けました.
電子ボリュームについて
電子ボリュームにはMCP4018を用います.非常に小型のため,扱いには注意が必要でしょう(実際1つ無くしました).また変換基板を用いることが推奨されます.私はAliExpressで買いましたが,同等製品がAmazonにもありました.
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B018AOK0O8/masaflyu-22/
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こちらの電子ボリュームはI2C通信で,アドレスのあとに1バイトの0〜127の数値を送信すると,内蔵の可変抵抗(10kΩ)を数値に比例して動かすという極めてシンプルなものです.ArduinoとRaspberry Piでの動作チェックは過去記事をご覧ください.
端子構成は6ピンで
この図のように書き表せられます.ここからわかる通り,3本足の可変抵抗の片側はVss(GND)に落とされています.
そのことに注意すれば,基本的には普通の可変抵抗器と同じように使用できます.A側を入力,W側を出力とすることで,分圧の形になりW/(A+W)だけ減衰します.
今回はオーディオの入力のあと,手動のボリュームの直後に,さらに減衰させるように接続しました.
以上を複合した回路構成
以上を合わせた3チャンネルオーディオアンプの構成図は以下の通りです.
これをEagleで設計したものが以下の通りです.
パーツリスト
品目 | 値・型番 | 個数 | 購入店 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2回路入りオペアンプ | 5532D | 2 | 秋月 | 回路図中の型番は間違い |
電子ボリューム | 10k | 2 | 秋月 | |
電解コンデンサ | 10uF | 10 | 秋月 | カップリング用8+電源用2 |
電解コンデンサ | 1000uF | 2 | 秋月 | 電源用,電源の方式によっては不要 |
半固定抵抗 | 20k | 2 | 秋月 | |
イヤホンジャック | 3.5mm | 4 | 秋月 | |
VHコネクタ(ハウジング) | 3ピン | 1 | 秋月 | |
VHコネクタ(コンタクト) | 3 | 秋月 | ||
VHコネクタ(ヘッダ) | 3ピン | 1 | RS | 横向きは秋月等に無かった |
ボリューム | 10k | 3 | マルツ | メイン音量調整用 |
QIコネクタ | 4ピン | 1 | Ali | 向きを間違えるのでXHとかの方が良かったかも |
抵抗 | 51 | 2 | Ali | |
抵抗 | 2k | 2 | Ali | |
抵抗 | 2.5k | 2 | Ali | |
抵抗 | 33k | 6 | Ali | |
抵抗 | 47k | 8 | Ali | |
抵抗 | 100k | 2 | Ali | |
セラミックコンデンサ | 0.1uF | 6 | Ali | 位相補償用2+電源用4 |
なお,電源は正負電源を供給する必要があります.このオーディオミキサは車載用のため,自動車の電源+12Vをレールスプリッタで±6Vに分割して供給するのが簡単です.
これを実際やってみたところ,ノイズがひどく実用に耐えませんでした.
そこで,外部に搭載した(たまたま持っていた)DCDCコンバータ(+12V→±12V)を利用して供給することとしました.
製作
上記の回路図(の旧バージョン)を加工したものが以下の通りです.
なんか妙なフットプリントがありますが,後述します.そして,実装したものが以下の通りです.
さきほどの変換基板が宙を舞っていますね.
じつは基板を加工した当初は,別の電子ボリュームを使用しようとしていたのですが,その製品が使用できないことがわかったため,後付けしました.その結果がこの芸術的な配線です.
一応これで問題なく聞けたことをご報告します.音質は...私には良く感じましたけどわかりません.
もうちょっとUEWの配線を綺麗にすべきですが,実験用に長く作ったままでした.また今度短く綺麗にしようかと思います.
オーディオ回路自体作ったことがほぼ皆無なので,普通に音が出たことに満足しています.
先述のArduino/Raspberry Piプログラムで問題なく音量を変えられました.音量変更時のノイズもありません.
比較的実用性のあるものが作れたと思っています.